第9章 俺のだ ☆
松田side
あぁ。
やっぱり今日ミコトを泊らせるのは失敗だったかもしれない。
テレビを見ながら、ただ抱きしめるだけだと思っていたのに、気付けばミコトに何度もキスをして、危うく舌も入れそうだった。
いや、一応付き合っているわけだから問題ないと言えばそうなんだが、流石に手ェ速すぎんだろ…俺…
2年間溜め込んでいたものが爆発している感が半端じゃない。
萩があの世で見ながら、俺の我慢の無さを見て笑ってそうだ。
今日はもうこれ以上絶対手を出さない。
一緒の布団で寝ると危険だ。
俺は床で寝るか…
明日も仕事だが、寝不足なのは慣れてる。
そんな誓いを密かに立てていると
「陣平くん!」
ミコトの声が聞こえて、思わず声のした方を見ると、ミコトが俺の貸してやったスウェットを着た状態で部屋に戻ってきた。
が、なぜかズボンは履いておらず、そのズボンを顔の前に持ってきて俺から顔を隠してる。
ふと下を見ると、俺のスウェットが膝上までワンピースのようになっていて、そこから太ももが伸びている。
「…おい、何で下履いてねぇんだ。
しかもそのズボンで何のために顔隠してるんだよ」
「だっ、だって!
すっぴんだもん!!」
「はぁ!?お前、小学生からの付き合いの俺の前ですっぴんもへったくれもねぇだろ?」
「ここ2年会ってなかったでしょ!?」
そんなこと言って頑なに顔を見せようとしないミコトに痺れを切らし、俺はミコトが持つスウェットズボンをパッと取り上げた。
「オラ!ったく…ズボン履けよ…」
そう言いながらミコトを見ると、ミコトは頬を桃色に染めながら、じっと俺を見た。