第9章 俺のだ ☆
昼間にアユが言ったことが現実になりそうだと思った瞬間、ドキドキと胸が高鳴ると同時にはっと思い出す。
今からシャワー浴びるよね?
シャワー浴びた後、コンビニで買ったショーツに履き替えるよね?!
勝負下着どころか、コンビニのショーツって!
だめ…今日は絶対に阻止!!
昂った気持ちが一瞬で冷めたところで、わたしは再び陣平くんの部屋に足を踏み入れた。
「風呂溜めてる間、テレビでも見ようぜ」
陣平くんはお風呂の準備をしたあと、テレビの前に座ると、わたしに手招きをする。
言われた通り、すとんと隣に座ったわたしを見て、陣平くんが言った。
「隣じゃなくてこっち」
「?」
こっちってどっち?と首を傾げるわたしを見かねて、陣平くんがわたしの後ろに移動した。
「??!」
なに?何で後ろ?!
そう思っていたら、陣平くんが後ろから腕を回してわたしの身体をぎゅっと抱きしめた。
「じ、陣平くん…?」
緊張してガチガチに身体が固まるわたしをよそに、陣平くんはわたしの肩に顎を乗せながら言う。
「あ、俺この店気になってたんだよなー。
コスパ最強ステーキ」
TVのグルメ特集で映った美味しそうなステーキを見ながら、陣平くんの声がわたしの耳元で響く。
近い…近い近い…
さっき、散々キスしたくせに、陣平くんの吐息が耳にかかり、声が響くとわたしの心臓は停止寸前だ。