第9章 俺のだ ☆
ピリリリ…
「ん…陣平くん…電話鳴ってるよ…」
「いい。後でかけ直すから…」
そう言って陣平くんはまたわたしにキスをしようとしたけれど、鳴り止まないコール音が次第に気になって来たらしい。
ピリリリ…
「っあぁ!なんだよ!」
そう言って少しイラついたようにローテーブルに置いてある携帯を取りに向かった。
キス攻撃が止んだことに少しだけホッとしながらわたしも陣平くんの後について部屋に戻ると、陣平くんはものすごく不機嫌そうに悪態をついた。
「出ようと思った瞬間切れやがる。」
「まあまあ…
陣平くん、わたし今日泊まるつもりなかったから、下のコンビニで色々買ってくるね?」
「俺も行く」
「一人で大丈夫だよ!」
「いや、行く」
「え、えっと…その、陣平くんに買ってるもの見られたくないんだけど…」
もちろん下着なんて持ってきてないわたしは、それもコンビニで調達しようとしている。
勝負下着どころか、下着を買うところを見られるなんて恥ずかしい通り越して断固拒否だ。
「…んじゃ、コンビニの前で待ってる。
それならいいだろ?」
陣平くんはそう言って、わたしの頭をくしゃくしゃに撫でた。
すぐそこのコンビニなのに、一人で行かせてくれない。
陣平くんは昔からそうだった。
口では粗暴なフリして、本当はすごく優しい。
そんな陣平くんが、大好きだ。
「ほら、行くぞ」
そう言いながら陣平くんがわたしの手を引いた。