第9章 俺のだ ☆
「帰んの?」
そう言いながら、陣平くんはわたしの腕を掴んだ。
ドクッと胸が高鳴ったけど、わたしは平静を装って笑う。
「帰るよ?ご飯食べたし」
試してるのかもしれない。
陣平くんを。
いつからわたしは、こんな小賢しい女になったんだろう。
陣平くんはわたしの腕を掴んだまま、じっと目を見て言う。
「…俺は、お前といてえけど」
そう言って、拗ねたようにそっぽを向く陣平くんが可愛すぎて、わたしの胸がきゅううんと鳴る。
好きな人にこんなこと言われて、それでも帰る女の子はいないはずだ。
わたしは玄関のドアノブから手を離すと、陣平くんの方を向いた。
「…わたしも、陣平くんといたい」
言った後にすぐ恥ずかしくなってきて、かああっと顔を赤くして俯いていると、陣平くんの手がわたしの頬に伸びてきた。
「何もしねぇって、嘘ついた」
陣平くんはそう言うと、ゆっくりわたしに近付き、わたしを壁に追い込んだ。
そして、息がかかるほど顔が近づいたかと思えば、そのまま2人の唇が重なった。
陣平くんとキス
久しぶりに感じた陣平くんの唇
今回は陣平くんの彼女だ。
それだけで、初めてのキス以上に嬉しさが込み上げた。
ゆっくりと唇を離した時、陣平くんがおでこをくっつけながら笑った。
「一緒にいてくれるか?」
「…いる」
ちょっとだけ微笑みながらそう言うと、陣平くんがまたわたしの唇を奪いにくる。
「ミコト…」
「ん…じんぺ…く…」
ちゅ…
チュ…
壁に追い込まれて逃げ場のない状態で、何度も陣平くんのキス攻撃が降ってくる。
触れるだけのキスを何度もしていると、陣平くんが少しだけ口を開けてわたしの唇を塞いだ。
そのとき