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【R18】evermore 【DC/松田陣平】

第9章 俺のだ ☆




陣平くんの車が到着したのは、陣平くんのアパートの近くのスーパーだった。


「陣平くん…ここは?」

「見りゃぁわかんだろ?
スーパーだよ」

「それはわかるよ!?
ご飯は?!?ご飯食べに行くんじゃないの!?」


予想外すぎる展開に慌てふためくわたしをよそに、陣平くんはズンズン中に入り、カゴを手に取った。


「なんか作ってくれよ」

「お前次第ってそういうこと?!」


てっきり何か食べに行くものだと思ってたわたしは、突然始まる抜き打ちテストに狼狽える。


とは言え、わたしは本業は医者だ。

基本的に自炊してたし、料理は得意な方だと思う。

これはもう陣平くんが絶対に死ねないと思うぐらい、胃袋をがっちり掴むしかない。


陣平くんはカレーが好きだった。



わたしは陣平くんの持つカゴに、カレーの材料をぽんぽん入れていく。
その様子を見て陣平くんが笑った。


「お。いいね、カレーか」

「うん!…思えばこんなふうに2人で買い物するの、初めてだね」

「そうだったかー?
昔は…そっか。
昔は4人だったもんな」


そう。
昔は、お姉ちゃんとお兄ちゃん、陣平くんとわたし

4人でスーパーに買い物に来たことはあった。

懐かしむと同時に、お兄ちゃんを思い出してまた泣きそうになった時、陣平くんが言った。


「また、いつでも来れるだろ。
俺とお前、今度千速も呼ぶか。」

「お兄ちゃんが、ズルい!って言いそう」


そんなふうに、お兄ちゃんのことを分かち合えるのが嬉しかった。

陣平くんはいつの時代も、いつでもわたしの心を軽くしてくれる。

明るくしてくれる、光だ。


「これで全部か?」

「うん。ぜんぶ。」


そう言ってレジに向かい、財布を出そうとするわたしを陣平くんが止める。


「学生の癖に財布出してんじゃねぇよ」

「警察官の給料は思った以上に安いって、お兄ちゃん言ってたよ?」

「バーカ。萩は女に金使いすぎなんだよ」


そう言って陣平くんは、カゴに入れた材料の会計を済ませた。


そして、買い物袋を持つとまた車に向かう。


なんだか、想像していた初めてのご飯デートとは全く違うけど、ただどこかへ外食に行くより、陣平くんに近づけた気がする。


まだ慣れない幸せを噛み締めながら、前を歩く陣平くんの背中をじっと見つめていた。

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