第8章 叶わぬ願いと叶った想い
わたしは陣平くんに手を引かれ、本堂へと戻る。
同じだ。
あの日と…
交わす会話は違うけれど、行動はほとんど同じ。
やっぱり、過去を変えるなんて出来ないんだ…
死んだ人を蘇らせるのもできない。
人の気持ちを変えることもできない。
無力だ。
それをわたしに教えたかったのかな?
いつまで経っても、前に進もうとしないわたしに、悔やんでも無駄だと。
どうせ、この2人は死ぬから。
そう言いたいの?神様…
お兄ちゃんの棺にお花を入れながら、わたしはお兄ちゃんに言った。
「救えなくて…ごめんなさい…」
唯一、わたしが良かったと思ったのは、生きてるお兄ちゃんに、ちゃんと大好きだよと伝えられたこと。
世界で一番自慢のお兄ちゃんだよと、言えたこと。
それ以外は、後悔しかなかった。
こんな調子で、4年後の11月7日を迎えるなら、その前にもう元の時代に戻りたい。
だけど帰り方もわからず、わたしは泣きながら陣平くんの手をぎゅっと握るしか出来なかった。