第8章 叶わぬ願いと叶った想い
11月7日がやってきた。
お兄ちゃんとトロピカルランドに行こうと約束したわたしは、飛び起きると急いで準備をしてトロピカルランドのゲート前で待った。
お兄ちゃんはここに来る前に、寄るところがあるからと現地集合となった。
念のため、今日の朝にお兄ちゃんに電話したら、
「心配すんな。ちゃんと行くから」
そう言って笑うお兄ちゃんの声が聞けた。
良かった…
これで何事も起こらなければ、お兄ちゃんは助かる。
絶対に助かって、お兄ちゃんが生きる未来を新しく歩むことができる。
わたしの心の中は期待と夢でいっぱいだった。
信じて疑わなかった。
お兄ちゃんを必ず救える。
医者になって、何度も絶望した死んだ人を蘇らせることは出来ないという現実を、とうとう覆せることができるんだ。
約束の5分前、お兄ちゃんから電話がかかってきた。
これは遅刻するの連絡だな?
そう思いながら、上機嫌でわたしはその電話を取った。
「はいはーい?
何分遅刻する?」