第8章 叶わぬ願いと叶った想い
松田side
11月6日
俺は萩に呼び出された。
久しぶりに飲もうと言われ、いつもの居酒屋の暖簾をくぐると、そこには同期4人が集まってた。
「松田ー!遅いぞ!」
そう言いながら笑いかけてくる降谷にうるせー!と返しながら、俺は萩原の隣に座った。
「卒業して、どうよ?」
集まるのは久しぶりで、相変わらず仕事の話で持ちきりだ。
出てくる話題は全て時間に関わること。
警察学校でしていたガキみたいな話とは雲泥の差で、自分たちが半年で大きく成長したことが手に取るようにわかった。
「そう言えば、萩原の引っ越しは終わったのか?」
伊達班長にそう聞かれ、萩が笑いながら俺の肩を抱いた。
「ああ♪
俺の可愛い妹と、陣平ちゃんが2人きりで頑張ってくれてな」
「…オメーも途中からいただろ?」
そんな意味深なことを言う萩原に、後の3人が食いつかないわけがない。
「え??松田と萩原の妹って、付き合ってるのか?」
純粋なのか、諸伏が目を輝かせながら声を上げた。
降谷と伊達班長も珍しく俺を見て目を丸くした。
そんな同期たちに、萩はにやにやしながら俺を見た。
「小学校からの付き合いだよなあ?」
「おお!そうなのか!言ってくれよ松田!」
班長がバシバシ俺の背中を叩きながら嬉しそうに言うもんだから、俺は思わずそれを払い除けながら言った。
「ちっげぇよバァーカ!!
おい萩!適当なこと言ってんなよ」
思わず全力で否定してしまうのは俺の悪い癖だな。