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【R18】evermore 【DC/松田陣平】

第8章 叶わぬ願いと叶った想い




そう思いながら、何で返していいかわからないでいると、陣平くんは拗ねたように口を尖らせて車のハンドルを握った。



「…あれ?怒ってる?」

「あぁ!?怒ってねぇよ」

「でも…なんかムスッとしてるし…」

「怒るだろそりゃあ!!」


怒ってないって言った2秒後に怒ってると認める陣平くん。


「どうして怒るの」


そんな、まるでヤキモチ妬いてるみたいな怒り方、勘違いするからやめてほしい…

だって陣平くんは、未来でもわたしに一度も好きと言ってくれなかった。

言ってくれないまま、死んじゃうくせに。


泣きそうになって俯くわたしを見た陣平くんは、ハァッ…とため息をついて、信号待ちの時にわたしの髪をくしゃ…と撫でた。


「ムカつくんだよ」

「え?」

「…お前が、他の男に触られたのがムカつく」

「…どうして?」

「え?」

「何でムカつくの?」


まるで誘導尋問みたいに、陣平くんに尋ねた。

陣平くんは少し迷ったあと、こう言った。


「…わっかんねぇ。
けど、面白くねーんだよ…」


そう言って拗ねる陣平くんが何だか愛しくて、わたしは思わず笑ってしまう。


「ふ…」

「笑うな」

「だって、子供みたい」


やっぱり、昔と違う。

陣平くんが、ほんの少し、ほんの少しだけわたしに好意を寄せてくれているような気がして、ますます未来を変えていると自覚する。

このままお兄ちゃんが助かって、陣平くんがわたしのことを好きだと言って、そして陣平くんも助けられる。

そんな未来が描ける気がして、わたしは車を転がす陣平くんをじっと見つめてた。


お兄ちゃんが助かったら、好きって告白しよう。
奇跡を、叶えるためにわたしは過去に来たんだから。


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