第2章 初恋のはなし
次に会える日は、意外とすぐだった。
陣平くんはその日から、よくうちに遊びにくるようになったから。
お兄ちゃんと、家の機器を分解して遊んでは、パパに怒られてまた直す。そんなことをしょっちゅうやっていた。
陣平くんがうちに来た日は、一緒に晩御飯を食べて帰ることが多かった。
だんだん、話す頻度も増えていって、
最初は
「妹」
「松田くん」
だった呼び方が、いつの間にか
「ミコト」
「陣平くん」
になったことに気づいたのは、わたしが中学に上がった頃だった。
わたしが中学生になると同時に、お兄ちゃんと陣平くんは高校一年生になった。
高校生なった陣平くんは、格好良さにますます拍車がかかってて、良くお兄ちゃんと陣平くん、それに数人の女の子で、街で歩いているのを見かけた。
この日も、わたしが中学の友達と街でクレープを食べている時、わたしを見つけた陣平くんが一緒に歩いてた女の子をほっぽって、わたしに近づいて来て頭を撫でた。
せっかく朝、綺麗にブローした髪が、陣平くんにくしゃくしゃにされる。
それが、嬉しかった。
「コラ!ミコトー!買い食いしてんのか?
俺にも一口くれ」
「だ、だめ!」
だって、一口って間接キスじゃん!
中1、13歳と言う多感な時期は、間接キスひとつで大慌てしながら、陣平くんからクレープを守った。