第7章 時を駆ける想い
松田side
ミコトに会ったのは2年ぶりだった。
久しぶりに会ったミコトは、2年で随分大人びていて、俺は思わず直視できずに目を逸らした。
俺を見たミコトは、会いたかったと一言言うとポロポロと涙を溢す。
まるで、もっと長い間会えなかったみたいな顔をして、俺がそこに存在するのを確かめるように何度も俺を見つめてきた。
あの海でミコトを振ってから、ずっとミコトのことが気になっていた。
警察学校にいる時も、珍しく合コンに参加した時も、ふとミコトのことを思い出している自分に、とっくに気付いていた。
ミコトを抱き上げると、いい匂いがした。
その香りに頭をクラクラさせながら、俺はミコトを抱き上げたまま萩の部屋に入った。
女を連れ込むと意気込んで背伸びをした萩の真新しい部屋に、まさか俺が最初にミコトを連れ込むことになるとはな。
心の中でそう思いながら、ミコトをゆっくりベッドの上に下ろし、腰掛けさせた。
「ほら、手当てしてやるから、脚出せ」
「…はい」
ミコトは大人しく俺の方へ白くて細い足を投げ出してきた。
着ていたTシャツワンピースの裾がめくれ、つい脚をたどってその先を見たくなるのを、俺はフルフルと顔を振って気を逸らした。
消毒液をつけて、膝小僧にできた擦り傷にコットンを当てると、ミコトはピクッと足を動かす。
「いた…」
「我慢しろ…ったく。どうして医者の卵のお前に、俺が手当を…」
そう言いながらミコトを見ると、俺を見ながら微笑み、ポロポロと涙を溢している。