第7章 時を駆ける想い
確か…あの時はわたしは怪我なんてしなかった。
3人で部屋に上がって片付けていた時にお兄ちゃんがワックスを買いに行くと言って出て行ったのに…
わたしが転んだことで、過去が微妙に変わってる…?
非科学的なこの現実にだんだん順応してきたわたしは、自分の脳内を整理しようとした。
が、隣にいる陣平くんがそれをさせてくれない。
「歩けるか?」
そう言ってわたしの髪をくしゃくしゃと撫でる陣平くん。
ドクンと胸が高鳴って、顔が熱くなる。
ドキドキする心臓を押さえるのに必死で、否定も肯定もしないでいると、陣平くんがため息をついて言った。
「しょうがねぇな」
そして一瞬陣平くんが視界から消えたかと思えば、わたしの身体がふわっと宙に浮く。
「えっ!!?え??」
「大人しくしてろ。
部屋まで運んで手当てしてやる」
陣平くんにお姫様抱っこで抱き上げられたわたしは、抑えようとしていた心臓が爆発寸前。
こんなの!過去になかったよ!!
どこかで見ているかもしれない神様にそんなツッコミを入れながら、わたしは大人しく陣平くんにお兄ちゃんの部屋まで運ばれた。