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【R18】evermore 【DC/松田陣平】

第7章 時を駆ける想い





その時


「お前、いくつになってもそそっかしいな」


後ろからわたしの大好きな声が聞こえた。

その声の主は、転んだわたしの身体を後ろから抱き上げる。
この手、覚えてる…忘れるわけない。

精一杯の期待を込めた顔で、その人の顔を見ると、そこにいたのは


「…陣平くん…」


3年前に亡くなった、わたしのずっと好きで今も少しも忘れられない人

松田陣平が確かにそこに立っている。


「久しぶり」


高2の夏、海で告白したあの日から2年ぶりに会った彼はわたしを見てそう言った。


ぶわっと涙が溢れて、表情を変える余裕もないままポロポロと涙が溢れた。

その顔を見て、陣平くんはギョッとしてわたしを見る。


「おいおい!そんなに痛かったのかよ!」

「ちが……」


陣平くんがしゃべってる

陣平くんが、動いてる

陣平くんが、笑ってる


陣平くんが、生きてる…


嬉しさと、懐かしさと、儚さで胸が締め付けられながら涙が次々に溢れた。


「…ずっと、会いたかった…」


やっとの思いでそう言うと、陣平くんはバツの悪そうな顔をして目を逸らした。


「たった2年会ってなかっただけじゃねぇか」


違うよ…
ただ会えなかった2年と、もう二度と会えないことを噛み締める3年は全然違う。

陣平くんに抱きつくことすら出来ずに、わたしはただ彼を見て泣いた。


「…陣平ちゃん。
俺、ちょっと買い出し行ってくるから、ミコトを部屋で手当てしてやってくれないか?」

「はぁ?家主が片付けもせずトンズラかよ」

「すぐ戻るから!よろしくな」


そう言ってお兄ちゃんは家の鍵を陣平くんに向かって投げたのを、片手でキャッチする陣平くん。



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