第7章 時を駆ける想い
夢は相変わらずまだ覚めないらしい。
わたしは助手席を降りて、トランクに積んだ荷物を取り出そうと、小走りで車体の後ろに回った。
そのとき、些細な段差に躓いたわたしは、派手に転んだ。
「い!った!!」
「おいおい、大丈夫か?」
お兄ちゃんが転んだわたしを見て、やれやれと言いながら手を差し出そうとした。
自分の膝を見ると、血が滲んでいる。
咄嗟についた手のひらにも傷ができていて、わたしはハッとあることに気づいた。
「ちゃんと痛い…」
痛みを感じないはずの夢の中なのに、傷を触ると痛みが走る。
これ…現実?
わたしは医者で、基本的には論理的に考えるクセがある。
物事に起きる事象は全て理由があると思っていて、奇跡とか信じないタイプだ。
なのに、そんなわたしが確信した。
わたし、7年前にタイムスリップした…?