第3章 夢を見た時は( 隠の後藤 )
鬼を殺した後…
いつも初めて殺した鬼を夢の中で思い出す。
俺は、小さい頃は只の人間であり、普通に村外れの民家で家族と暮らしていた。
両親がいて、兄がいて、弟や妹がいたんだが…。
ある日、父親と一緒に狩りから帰ってくると
家の中は血だらけで、家族は皆…倒れていた。
一瞬、此の状況が分からなかったが…
奥からゆっくりと若い男が出来てきた。
「 おや、まだ居たのか。安心しろ。直ぐに殺してやるさ 」
黒髪に赤い目をした男に、身体の中で本能が逃げろと言えば、父親は俺の前へと出た。
「 青牙!!逃げろ!! 」
「 っ!!! 」
本当は逃げたく無かったけれど、お父さんの切羽詰まった声で逃げていた。
走って、走って、息が切れる程に走って。
坂を転げ落ちたりしていれば、あの男は追い掛けて来る事はなかった。
代わりに…別のものが来た。
「 グルルルッ… 」
「 おと、う…さん……? 」
血の付いた父親が、俺の前に獣のように唸って現れた事に、この人はもう知っている父親では無いと思い、止まっていた脚を動かす。
「 グァッ!! 」
「 っ!! 」
単調に襲ってきた父親に噛まれ、痛みに泣きそうになるも近くにあった石で頭を殴ってから、上から退いた父親を、ひたすら何度も石や落ちてる木を突き刺していた。
森にある、お父さんと仕掛けた罠を使っていく。
そして、やっと罠に引っ掛かって動けなくなったお父さんは、夜明けと共に朽ちて死んだ。
それまで何度も身体を貫かれようが、身が切れようが再生していたのに…
日光に当たった瞬間に消えたのを見て、膝を崩し地面に手を当て、泣き崩れた。
「 あぁぁぁあ!!! 」
彼奴の顔も声も匂いも忘れない。
お父さんをこんなことにしたのは彼奴に違いない、
ジクジクと痛む噛まれた傷口に手を当ていれば、
俺の姿ば 人間 ゙では無くなっていた。
父についていた鬼舞辻の血がついたのか、それとも父親の血のせいなのかは知らないが…
獣の耳と尻尾が生え、爪は僅かに伸びては犬歯もある。
意味が分からなくてその場で気絶すれば、
次に目を覚した時は、天狗のお面を付けた老人の家だった。
この人は、゙ 育て手 ゙らしく、剣士を育てるみたいで、
俺はその人に鬼舞辻無惨を殺す為に剣を教わった。