第13章 キャンディータフト
『ワカくんばいばーい!
またすぐ会おうねー!』
少し遠くなったワカくんの背中に東堂が手を振りながら声をかけた。
「おう、またな東堂。
圭介も…そんな顔してんなよ笑え!」
…っ!
「うっス…!」
ニカッと笑って大きく手を振るワカくんがどんな気持ちで俺の名前を呼んだのかなんて分からない。許して欲しいなんて思ってない。だけど…ほんの少しだけ心が軽くなった。ありがとうワカくん。
『よーし、圭介くんおうち入ろ!』
「ん、そうだな。」
俺の手を引いて歩く東堂になんでワカくんといたのかなんて聞けなかった。久しぶりにあったワカくんはやっぱカッコよくて飄々としていてガキな俺とは大違いだ。俺が女ならあういう人に惹かれるのかもしれない。
『ねえ、すごい早く起きちゃったね
集会は夜だし…なにする?』
「映画でも見るか…?」
今はただこの不安を拭うために何もせずただ一緒にいたかった。夜の集会ではマイキーに会う。ドラケンや三ツ谷も知ってんだ。知らないのはコイツだけ。何も考えずにいられる時間は東堂とすごす時間だけ。
いつか必ず話すから…
その日まで…そばにいてくれ。