天命と共に 【文豪ストレイドッグス】 サンプル小説
第1章 序章
通行人や車などに邪魔されること、25回……
遂に、憎き相手の所属している会社が判明した
「此処か……」
長い時を経て、俺はやっと、やっと……この情報を掴んだ
空を仰いで、大きく聳える建物を見つめる
「見つけたぜ……!」
俺は持っていた紙を掲げると不敵に笑みを浮かべた
"武装探偵社"ーー
探偵と聞くと、誰しもが思い浮かべるのは犬や猫などの動物探し等であろう
しかし、此処は違う
斬った、張ったの荒事が領分の"異能力集団"ーー
"軍や警察には頼らないような危険な依頼を専門とする探偵集団"だ
この横浜の昼は"異能特務課"が、夜は"ポートマフィア"が仕切っている
その間(あわい)を取り仕切るのは薄暮な武装探偵社
"福沢諭吉"を長とし、他複数名の社員がいる
その多くは、異能力を使う"能力者"だ
「居場所が突き止められないと思ったら……こんな所にいやがって」
俺は憎き、見知った人間を思い浮かべながら、目の前の建物に睨みをきかせる
「待ってろ、"太宰"……!」
今、お前の死を持って報復してやる!
全ては……
目を閉じると、自然と思い浮かぶのはーー穏やかであったとは言えずとも、毎日が幸せで……笑い合っていた、あの日々
俺は静かに目を開けた
"あの人"の為だ……
俺は開いていた扉をゆっくりと進んでいった