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ラヴレター─君が遺した日記─

第1章 涙雲


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骨折が完治した後も

僕は彼女に逢いに病院へ通った


とても、もう直ぐ死んでしまうかも知れない不治の病に侵されているとは思えない、明るく可愛らしい彼女に

僕は、何時しか恋をしていた





彼女はもう直ぐ死んじゃうかもなんて言っているけれど

本当は冗談で、直ぐに治って退院出きるのではないか


僕は、明るく元気な彼女を見て、そんな都合の良いことを考えていた



だけど

そんな僕の淡い期待は、彼女の本当の病状を目の当たりにして

呆気なく崩れ去ってしまった





ある日、彼女の病室を訪ねると、其処は蛻の殻で

同室のおばさんを捕まえて訳を訊くと、朝早くに病状が悪化してICUに移ったのだと言われた


それから彼女は一週間程、生死の境をさ迷った







「いやいや、危なかったね、あたし!」


ICUから無事生還して普通病棟の部屋に戻って来た彼女が、相変わらずおどけて言った

僕はその笑顔を見て、何故だか泣きたい気分になっていた



「……そんな風に笑うなよ」

「え?」

「死ぬのが怖くない人間なんか居るもんか……俺は……俺は怖いよ……

智子が死んじゃうの………怖いよ」

「……」



何時も絶えることなく彼女の顔に張り付いていた笑顔が


ふっと、その表情から消えた。



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