第4章 終焉の時
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彼女と
彼女のお兄さんは
本当に仲が良かった
お兄さんは彼女の良き理解者であり
最も話しやすい存在だったらしい
だから彼女は
自分の最後のお願いを、お兄さんに託したのだろう
日記の日付に
“6月”の文字は記されて居ないだろう
何故なら彼女の容体は、月が変わると共に更に悪化して
昏睡状態に陥ったからだ
僕は
恐らくそれが、最後であろう日付が記されたページを
捲った
今にも消えてしまいそうな
か細い文字で記されたソレは
その前の数日間と打って変わって
ページを跨いで綴られていた
僕は、コーヒーの最後の一滴を飲み干すと
彼女の最後の言葉を、読み始めた
──5月31日──
もうじき
私が終わる
「っ………」
出だしの文言だけで大泣きしそうになった僕は
慌ててお絞りで鼻と口を覆ってから
もう一度、君からの最後のラヴレターを読み始めた
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