• テキストサイズ

ラヴレター─君が遺した日記─

第4章 終焉の時


.



彼女と

彼女のお兄さんは

本当に仲が良かった


お兄さんは彼女の良き理解者であり

最も話しやすい存在だったらしい





だから彼女は

自分の最後のお願いを、お兄さんに託したのだろう





日記の日付に





“6月”の文字は記されて居ないだろう

何故なら彼女の容体は、月が変わると共に更に悪化して


昏睡状態に陥ったからだ








僕は


恐らくそれが、最後であろう日付が記されたページを


捲った








今にも消えてしまいそうな


か細い文字で記されたソレは


その前の数日間と打って変わって


ページを跨いで綴られていた





僕は、コーヒーの最後の一滴を飲み干すと


彼女の最後の言葉を、読み始めた








──5月31日──





もうじき


私が終わる











「っ………」



出だしの文言だけで大泣きしそうになった僕は


慌ててお絞りで鼻と口を覆ってから


もう一度、君からの最後のラヴレターを読み始めた





.
/ 32ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp