第4章 終焉の時
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──5月24日──
今日は体中が痛い
点滴の薬の量が増えた
主に、痛み止め
頭が
ぼおっとする
──5月25日──
また薬が増えた
飲み薬を飲み込めないので
点滴にしたらしい
只でさえみっともない両腕が
点滴の痕で
更に、みっともなくなった
──5月26日──
今日はずっと吐き気が収まらない
章くんの前で、初めて吐いた
吐いた物の中に血が混じっていて
章くんの顔が曇った
──5月27日──
痛み止めが効き過ぎて
今日は
何時章くんが来て
何時章くんが帰ったのか
はっきり思い出せない
明日は
覚えてるかな
──5月28日──
朝から酷い頭痛
モルヒネを使うかと聞かれ
断った
そろそろ
私はお仕舞いらしい
「……モルヒネ……」
それは、末期の患者に施される
強い痛み止めの薬だ
効果が高い反面、副作用も強い
だから
死を間近にした患者の、痛みの緩和に使用される事が多いのだ
つまり
それの使用を促されたと言うことは
彼女の死が
間近に迫っている事を、意味していた
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