第3章 彼女の真実
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──5月22日──
今日も朝から体が重い
どんどん、体を動かすのが困難になっていくみたいだ
気の所為じゃなかったら、息をするのもちょっと辛い
これは、まずい
だって、息が出来なくなっちゃったら、本格的に死んじゃうじゃん
イヤだな
怖いな
死にたく、ないな
章くん
私ね
泣き虫なの
本当はね
章くんが帰った後、ずっとお布団の中に隠れて泣いてるの
夜眠る時も
怖くて
泣きながら眠るの
どうか、明日が来ますように
どうか、明日も章くんに逢えますように
…って
朝目が覚めた時も、泣いちゃうの
あぁ、私
まだ、生きてる………って
章くん
私本当はね
誰も居ないとき、何時も泣いてたの
寝過ぎて目が腫れぼったいなんて、嘘なの
アレは
何時も泣きすぎで、腫れてたんだよ
章くん
私
泣き虫で
嘘つきだね
「お絞り、新しいの要るかい?」
「……」
僕は、マスターが差し出したお絞りを、黙って頷き受け取ると
大量に溢れ出した涙を、それで拭った
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