第3章 彼女の真実
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毎日を、今日が最後かも知れないと思って過ごすのが
どれだけ過酷かなんて
想像するだけで途方に暮れてしまいそうになる
君は、そんな想いを抱えながら
それでも、毎日を笑って生きていた
強いヒトだな、って思う
強いヒトだな、って
…思ってた
僕は馬鹿だね、智子
死ぬのが怖くない人間なんて居ないって言ったのは、他ならぬ僕なのに
…それなのに…
何故、僕はそんな薄情な事を思って居たのだろう
ごめんね、智子
…ごめん
──5月20日──
朝、体が鉛のように重かった
動くことが、辛くて
私、このまま動かなくなっちゃうって
思った
怖い
怖い
怖い
章くん
怖いよ
助けて
私、怖いよ
章くん
私
…死にたくない
「智子っ……智子……」
僕は再び溢れ出した涙を拭って、君の悲痛な叫びを何度も何度も撫でた
君にもっとそうしてあげたかったと
今更な事を、思いながら
智子
智子
本当にごめんね
僕は、何も解ってなど居なかった
君の苦悩を
君の痛みを
君の苦しみを
「………」
僕は日記のページを捲って、表紙の裏のメモ書きを見た
「……智子……君は……」
君は、本当に
…幸せ、だったの?
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