第2章 日記
.
(そうか…そう言えば、お兄さんと智子って結構年が離れてるんだよな)
智子が自分の甥っ子の事を思い出して、あの時あんな事を言い出したのかと思って
僕は彼女のお兄さんが、彼女と10才も年が離れている事を思い出した
彼女は、年の離れた兄と、四十過ぎて娘を授かった父親に
それはそれは可愛がられていた
お兄さんの方は、結婚して子供も居たから
普通の兄妹よりも数段妹を可愛がっているって程度だったけど
彼女の父親の
彼女に対する溺愛っぷりは、半端なかった
だから
僕は何時も、彼女の父親が来れない時間帯(主に昼間か夕方前まで)に、彼女の病室を訪ねていた
勿論
土日に訪問するのは、御法度だった
(お兄さん、智子の骨を掠めるの大変だったんじゃないのかな…)
僕は、胸のポケットをそっと握った
ソレは、自分の体温のなせる技なのか
まだ、微かに暖かさを遺していた
.