第2章 日記
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彼女がソレを嫌うから
僕は普段、彼女の病気の事については一切言及しなかった
だけど、その日みたいに
まるで、僕を試すかのように
急に自分がもうじき死んでしまう病気なのだと言うコトを、確認させるような事を
彼女自ら口にする事があった
その度に、僕は思い知るのだ
彼女とこうして逢えるのが、病院の狭い空間に限られている現実を
彼女が、不治の病に侵されているのだと言う事実を
それは
彼女がもうじき
僕を遺して、この世を去って逝くのだと言う事を意味していた
「でもさぁ、あたしのコト忘れなかったら、新しい恋なんか出来ないよ?」
「…何で、そう思うの?」
「だってさ、ほら
あたし、こんなに可愛いじゃん?」
そう言って
ふざけて可笑しなポーズを決める彼女に、僕は言った
「良いよ別に…もう、恋なんてしない」
「なんて、言わないよ絶対」
「「……」」
二人で再び顔を見合わせる
「「マッキー!(笑)」」
僕らは、其処が病院なのにも関わらず
大声で笑い出した
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