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聖夜はアナタの好きにして【鬼滅の刃/上弦の鬼短編】

第4章 Confession of love /猗窩座





月が煌々と空を上ったころ、ビラ配りは終わり手伝ってくれた当事者以外の人たちは天兄とわたしの家族を残して帰っていった。

後片付けをして、この後は天兄家族と過ごす予定だ。
過ごすといっても故人の話をする法事のような雰囲気だ。
小さいころから一緒だったから、わたしだけじゃなくて天兄も苦しくてどうしようもないんだ。
正直、今日はあの店に行くよう余力はない。精神的にも、肉体的にもクタクタだ。

ふと、暖かいものが飲みたくなって、ついでにトイレに行くために、裏手の静かな路地裏に入った。

裏の通りの奥のコンビニに入って用を足すと、残っている人全員分の飲み物を次々とかごに入れる。
レジに出せば2,130円。カードで支払って、クリスマスの夜にも働く彼らに敬意を払った。

店の外に出れば、寒いのとは別の、なんとなくきた言い表しようもないものでぶるりと身震いする。
何となく先ほどよりどんよりした雰囲気を感じたのは何でだろう。

薄気味悪い感じがして、速足で元居た場所に戻る。
どういうわけか先ほどは人の姿がちらほらあったのに、街灯だけが冷たい色で光っているだけ。

だけど、何かが後ろから見て少しずつその距離が近づいている気がする。

ふと、8年前の記憶が鮮明によぎり身の毛がよだつ。
周りの気配を相手にばれないように探ったけど、近くには獣や鳥すらいない。
シーンと静まり返る中で何かが近づいてくる感覚だけが強くなる。

走ってきた。

この機会を逃さんとするためか。

もう考える事を放棄して、大通りの方へ一目散に走った。

相手は男だ。しかも、この感じ.....!

意を決して振り返る。

忘れもしない。紫色の髪に青白い肌が黒帽子と白マスクから覗く、人かバケモノを疑うような容姿。
男の持つナイフの変わった形で鋭利な刃渡りの長いその様子。

「久しぶりですねぇ。その顔よく覚えていますよ?”あの時の”お嬢さんですねぇ?」

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