聖夜はアナタの好きにして【鬼滅の刃/上弦の鬼短編】
第4章 Confession of love /猗窩座
夕暮れになってそれぞれが食事をとり、寒くなったと厚着をしてはまた街頭に立つ。
「美咲さん、俺、そろそろ店に行きますね。」
座ちゃんが、申し訳なさそうに眉尻を下げてそう言ってきた。
「いいよ!まさか手伝いに来てくれるなんて思いもしなかったよ。ありがとう!」
「いえ、少しでも美咲さんのお手伝いが出来て嬉しかったです。」
「そんな...。」
胸の奥から暖かいものがふつふつと湧き出す感じが、体をも温めてくる。
何の見返りもなくきれいに笑う。
クリスマスイブという特別な日。夜に一緒似られないのなら昼、家族との大事な時間もあっただろうに。
決定的な事はしなくとも
言葉でも、態度でも”わたしのために”って彼がしてくれるストレートな気持ちがズブズブ心の奥に蓄積して自分で縛ろうとしている自分の鎖を温めて溶かしてくる。
「また、お店来てくださいね。今年はもう会えないのかな?」
寂しそうな雰囲気にも嘘がないからどうしていいか分からない。
「また来れそうなときはお昼に連絡するよ。気をつけて行ってね?今日も頑張って!」
せめてもの気持ちでそう返すけど、やっぱり、昨日の事もあって、夜ってこともあって、明日がその日であるって思うから...。
いや、ちがう。心細いからもっと一緒にいたかったなんて言えない。
今日は黒死牟くんが休みみたいだし凄くチャンスなはず。わたしも行ってあげたかったんだけど、こればかりは外せないから。
結局座ちゃんはそのまま帰っていった。
「美咲~!8時まで頑張って配るぞ!」
「うん。」
普通の人たちと違うXmasをもう8回も迎える。
でも、少しでも1日でも早く一刻も早く犯人が捕まって欲しい。
だから、すこしでもそれを早めるために頑張るんだ。