聖夜はアナタの好きにして【鬼滅の刃/上弦の鬼短編】
第4章 Confession of love /猗窩座
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難病を抱えた父の病状が重くなり多額の医療費がかかること、父が長期入院になり家に不在となり稼ぎか格段に減ることを踏んで、主治医の兄がいるというホストクラブで働くことになった。
もともとは黒死牟の常連だった美咲さん。
入店して1週間、俺の事情をよく知る黒死牟が、上手い事俺に流してくれたことから俺の常連になってくれた。
彼女は、俺が好きだった女性に似ていた。父の病院で知り合ったが、2年前にその人は父と同じ病気でなくなった。
楽しそうに話をしたり、一生懸命に俺にいろいろ教えてくれる顔、自分の事よりいろいろ気にかけてくれる優しいところ。俺はこの人の前ではいつも入店以来のままだ。
面倒見が良くて、いつも笑顔でいる彼女に恋に堕ちたのはわりと早かった。
それとなく仄めかしてみたけど、『客に情を持ったらやっていけないよ』と軽く窘められた。恋愛では全く相手にされないのも当然。相手は俺よりもこの業界を知って社会を知る大人だ。
それでも日に日に想いは増すばかり。だから、この人にホストとしても人間としても、男としても惚れられる男になろうって思ってる。
「座ちゃ~ん、こんばんわ!今日もいっぱい話そう!!」
「美咲さん、今日もありがとうございます。」
何度この笑顔に励まされたかな。
何度その元気そうな声に助けられたかな。
もっと一緒にいたいし
俺が世話になってる以上にもっと美咲さんの役に立ちたい。
アフターも同伴もしない主義のこの人は難攻不落な高嶺の花。
だけど、俺の誘いを断るとき、いつもどこか切なげになるのを感じる。
何か力になりたいし、その表情の裏に何を思っているのか知りたかった。
Xmas partyが決まって10回目のアフターの誘いを入れた。
どうしてもお礼がしたい。
もう少しあなたを知りたい。
あなたの悲しみの色が何故かを知りたい。
その一心で。
結果は、『じゃぁ、今回だけね。』
童磨は
「よくあの難攻不落な美咲ちゃんを誘い堕としたね」
と言ってきた。俺にとってはゲームじゃない。だけど、ほんの少しだけでもあの人が俺を認めてくれたというならば、最大限彼女に楽しんでもらうまでだ。
そう意気込んで、20日までの仕事を乗り切りながら計画を練っていた。