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聖夜はアナタの好きにして【鬼滅の刃/上弦の鬼短編】

第4章 Confession of love /猗窩座



年の瀬の冷たい風が心の色を物悲しくさせる。

わたしはこの季節の夜が嫌い。

一人で歩いてると余計なことを考えてしまうから。

クリスマスの夜、目の前で起きた事件が脳裏に焼き付いて離れず、未だにこんな寒空で1人の帰り道あの時の声が聞こえてくる。

『美咲!逃げろ!俺に構うんじゃない!』

8年前、幼なじみだった杏兄こと杏寿郎はわたしを逃がして刃物を持った男に殺された。

7回忌以降も1年に1度、命日の日に彼に線香を上げに家に行く。

「美咲さんが幸せに生きてくれることが、あの子の願いなんだから、前を向いてね。杏寿郎の分も精一杯生きて。忘れたって構わないから。」

そう言われ続けてるけど、1人の若い命が目の前で私の代わりに奪われて、彼が生きられなかった今を生きているということに罪悪感が長い事拭えない。

まだ、犯人は逃走中。そういうこともあるのかもしれない。

そんな中、色んな事情でホステスとして働き、店の得意客に株を教えてもらい大成して、彼の生家に犯人探しの協力金として納めて、命日の日には事件現場でビラ配りをさせて貰ってる。

杏兄とは幼なじみってだけだったのに、深い関係になるのが怖くて特に恋愛は上手くいかなかった。今までに2回お付き合いはしたけど、気が乗らずにすぐ別れ、今はホストクラブで疑似恋愛をして逃げている。

半年前、ずっと指名して応援してきた黒死牟くんから、「美咲が教えてやれることを叩き込んでやってくれ」と言われ、紹介された新人ホスト。それが座ちゃんこと、猗窩座くんだ。

「初めまして。猗窩座といいます。席をご一緒してもいいですか?」

礼儀正しさと生真面目さ、体格と身長は杏兄を彷彿とさせて、話を聞けば誕生日は、クリスマスの日だった。

顔、声、雰囲気も違うのに、不思議とシンクロすることが多い不思議な子。そしてどこか切なく儚いという印象だった。
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