聖夜はアナタの好きにして【鬼滅の刃/上弦の鬼短編】
第3章 あまい毒牙/童磨
「サンタさん、僕の口にケーキくださいな?」
見上げられるようにして強請られて、それが可愛いって思う気持ちと、何とも言い難い欲が湧き上がる。
ケーキを一口より多めにフォークで掬い取って、大きな口を開けたそこに入れてみる。
「甘くして?」
言葉に従って、口の周りに残されたホイップクリームをペロリと舐めれば、満足気に愛おしいものを見るように目を細めて見つめられる。
唇と一緒に食むようにクリームごと口づけて、中も一緒に味わうために舌を入れた。
お酒の熱、情愛の熱とその甘さに味覚の甘さも交じって癖になりそう。
「サンタさん。凄く甘いよ?上手だね。次は僕がするよ?」
スプーンで同じようにして、わたしの口の中にケーキを運んでくる。
声も出さずにただ口を開けてそれを受け止めると、今度は指でクリームを救って頬と鼻先とおでこ、目尻につけては、長い舌先が厭らしくペロリと絡めとってくる。
「ふっ....はぁ....」
思わず鼻先に抜けるような甘ったるい息が漏れた。
「気持ちい?僕だけのサンタさん。
もっと、甘くなって.....。」
「ねぇ、それ恥ずかしい…」
「何が?」
「サンタさん。イヤ……」
「だめ。それ着ている間、呼んであげない。」
結び目のポンポンを引かれてはらりとポンチョがずれ落ちた。
再びお酒の味が口いっぱいに色がって、パチパチと弾ける感覚。
もうそれさえも情欲を熱くしていく。
髪の毛が耳にかけられて、その指がうなじを通って髪を掬いよけられる。
またそこにクリームが塗られて、冷たい感覚と塗られる指使い、その後に感じる舌先の座らりとした感覚に他の場所も物足りなさを訴えだす。
大きな手が赤い布の上から胸のふくらみを強めにゆったりと撫でまわして、甘く深い口づけに情感がピリピリと反応した。
「んふ……ぁ…」
「サンタさん。えっちだねぇ。もっと聞かせておくれ?」
器用に片手で自分の着ぐるみのチャックを外して袖から腕を出す。
筋骨たくましい胸がTシャツ越しでも伝わるくらいで急に現れた男らしい体に、自分の体がずくりと疼いた。
それがバレてニヤリと笑みを浮かべられる。
羞恥も手伝ってドロドロに溶けてしまいそう。
「どこもかしこも、甘くて美味しいね。全部食べたい。」