聖夜はアナタの好きにして【鬼滅の刃/上弦の鬼短編】
第3章 あまい毒牙/童磨
脳死状態になるほどの甘ったるい毒のある言葉。
思考回路が大渋滞しては、甘い眩暈が覚めなければいい。
だけど、このままわたしだけ溶かされるより一緒にこの沼に堕としてしまいたいから
「わたしからのも開けて?」
「うん。」
丁寧な手つきで包装をあける。
ワインレッドのペイズリー柄にルビーをクリアストーンで囲ったリングストーンのネクタイ。
「ありがとう。.....そういう意味で.....捉えていいのかい?」
スーツで接客するあの店で、ホストが身につける一番に目を引くもの。
それを渡すからにはそれなりの覚悟もある。
嬉しそうに驚く顔、初めて見た。
もう、それが決定打で、信じようって思えたから
静かにあなたの目を見て首を縦に振る。
「じゃぁ、契約成立だね。」
近づくぬくもり、艶めかしい笑みを陰に映して
腰を抱く腕の力のまま抗うことを忘れた。
口づけるたびに見つめられて、情緒的な眼差しが体の深いところから熱を湧かせてくる。
何度か角度を変えてリップ音を立てながら、宝物かのように愛でられた。
童磨さんの大きな手がポンチョの下から、布を纏わない肌に触れた手。男らしく硬い皮膚で少しひんやりした感触に体が震えた。
「ふふ。あ、ケーキとシャンパン、どうしようか?」
急に思い出したように剽軽にいうものだから、思わずしかめっ面してしまう。
正直、今そんな雰囲気じゃないじゃない。
「じゃぁ、折角だし、もっと甘くしちゃおっか?」
「はぁ?」
「雰囲気はちゃんと壊さないさ。俺もそんなの嫌だしさ。」
そういっては、近くにある自分のグラスのシャンパンを煽る。
「え?ちょっ……」
ニヤリと笑みを浮かべて耳の後ろから両手で顔を引き寄せられて口づけられる。
驚きで半端に開いた唇にねじ込まれた舌から炭酸が弾けるお酒の味が広がった。
「ん……!」
受けきれなかったお酒が口端から漏れて、首筋を伝うけどどうしようもない。
口の中を舐られて、銀の糸を引いて離れてはぺろりと舌なめずりする表情は少し赤らんでて思わず胸が鳴った。
「ねぇ、もっと甘いことしよ?」
そういってはひょいと抱きかかえられて、膝の上に向かい合わせで座らされた。