聖夜はアナタの好きにして【鬼滅の刃/上弦の鬼短編】
第3章 あまい毒牙/童磨
童磨さんは、わたしの目を見て離さない。
じっと見つめてきて
わたしの頬を包んで
揺れる心を覗き込んでいるかのよう。
そんなに見てるんだから、もうわたしが考えていることなんて筒抜けなんでしょ?
こんなに面倒くさい思考も
腹が決まらないどうしよもなさも
でも、それすら面倒くさがらずに、こうやって向きあってくれて不安をひとつひとつ掬いあげてくる。
こんな表情も出来るんだって思うくらいの優しい眼差しが、今までの張り付けているような外の表情では見られないくらい綺麗で引き込まれる。
「マキちゃんになら……、
マキちゃんのためなら……」
ゆっくりと噛み締めるように紡がれるわたしの名前。
これ以上ないとわからせてくれるように滲み出してくる感情が嘘だったら世の中の全てが嘘だって思える。
表情、体温、わたしを抱きしめる強さ、言葉の温度がわたしにも伝わって
不安でどうしようもないちっちゃい心の硬い氷を溶かしていく。
「殺されてもいいし、何をされたって構わないよ……」