聖夜はアナタの好きにして【鬼滅の刃/上弦の鬼短編】
第3章 あまい毒牙/童磨
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童磨さんから、サンタコスを受け取ってそのデザインを見てすごく可愛いし着たいって思ったの。
厭らしい意味なんてなく純粋にね?
だって、ハロウィンとか、クリスマス、その他のイベントの時ちょっと本格的にコスプレするの好きなのよ?
何で知ってるの?って正直思った。
でも、よくよく考えるとそれを漏らしたの、ひょっとしたら梅ちゃんかな?そう思うと納得して、色々調べて、聞いて、覚えててくれてわたしにいろんなことをしてくれたんだって解った。
それを、あんなに笑顔でやってくれてたってわかっただけで凄く嬉しかった。
しかも、童磨さんまでトナカイさんになるなんてね♪
髪色からも絶対似合うと思いながら待っていると、いつもとは全然ちがうけど、大きくて可愛い感じの仕上がりで両手にはケーキとシャンパンを持ってきた。
その恰好から
「どっちがサンタかわかんないよ?」
なんて笑ってると、
「俺のサンタさんは、俺の目の前でそんなに笑ってくれてるだけで、充分なんだけどな♪」
って、甘い言葉が返ってくる。
「さぁさぁ、今日のクライマックスやろっか♪」
「うん!」
目の前のローテーブルにケーキとシャンパン、雰囲気をつくるグラスとお皿たち。
ケーキに立てた蝋燭に日を灯して明かりを消すと、世界が小さく二人だけのもののような感覚になる。
二人でワイングラスの音を鳴らして、本日2度目のメリークリスマス。
楽しかった今日一日ももう、夜になって終わりを迎えるのかと寂しい気持ちになる。
同時に、充足感もこころを温かくして穏やかな気持ちになる。
二人で蝋燭を消したら、グッと腰を引き寄せられて唇が重なった。でも、それはすぐに離されて
「ねぇ、見てごらん。」
右手を重ねられて持ち上げられ、互いの右手の薬指には、キラリとピンクゴールドの指輪。そして、同じデザインのシルバーのリングが童磨さんの指にもあった。
「ペアリング♡俺からのクリスマスプレゼント。」
このタイミングで?ううん。凄くいいタイミングだけど、こんなんじゃ……
(勘違いしちゃうし、もう、ただのお客さんではいられなくなるじゃない!)
そんな言葉を飲み込んで
「ねぇ……、意味わかってるの?お客さんに.....、そこまでしちゃだめだよ?」