聖夜はアナタの好きにして【鬼滅の刃/上弦の鬼短編】
第3章 あまい毒牙/童磨
「「Merry Christmas!」」
赤ワインが入ったワイングラスを打ち鳴らして、二人きりの特別なディナーが静かに始まった。
童磨さん選曲のBGMもまた、この時間に華を添えるようなもの。
料理はやはり見た目を裏切らず、溶けるような舌触りで、唸りたくなるほど美味しい。
とくにメインディッシュの和牛のワイン煮込みとラディッキオのソテーが格別でシェフ?と聞きたくなるほどの味だ。
料理の素材とか、調理法、ワインなどのお酒の話の話から、お互いの仕事の話を沢山話しながら、楽しく時を過ごした。
*
食事が終わり、片付けようとすると、独りぼっちは嫌だって可愛い事をいうから、マキちゃんとおしゃべりしながら片づけをした。
正直今のところ、全部”マキちゃん大喜びクリスマスプラン”は大成功。
いつも以上に笑ったり驚いたりしてくれるその笑顔だけでも見ていて心臓が脈打つのが早くなる。
一緒に楽しみたいと思って考えたプランはあと二つになった。
後片付けも大方終わって、マキちゃんをソファーに座らせて例の物を取りに行く。
プレゼントとケーキとシャンパンと。それだけじゃないんだよな。
多分、そういうの好きそうだけど恥ずかしいっていって拒否しそうだから、自分の分も用意した。
いつものアフターだけじゃ見られない自分を見てもらおうと思って。
ドアノブを押し開けると、ツリーを見上げる楽しそうな後ろ姿が可愛いって思ったから、後ろから抱き着いてみた。
「きゃ!」
「おまたせ!!」
「もう、びっくりしたぁ」
そういいながら頬を染めて膨らませるから可愛いんだよな。
そしてブラウンのふわふわの髪の毛がさらりと俺の顔に触れるのが、ちっこい肩が腕に収まるサイズ感が堪らない。
「ただのデザートタイムもいいけどさ、もっとクリスマスっぽくしないかい?」
「というと?」
「ほら。」
足元に置いていた紙袋を広げて見せると、案の定もっと顔を赤くして体を硬直した。