聖夜はアナタの好きにして【鬼滅の刃/上弦の鬼短編】
第3章 あまい毒牙/童磨
彼の住むタワーマンション。
豪華なエントランスを抜けて、48階でエレベーターが止まった。
大きくてきれいな男らしい手に引かれて、招き入れられた部屋は彼らしく、ホワイトとゴールドで統一されたお城っぽいデザイン。
リビングルームには童磨さんより高く、淡い色のポインセチアで彩られたクリスマスツリーが聳え立つ。
「クリスマスディナー、大方仕込みは終わってるけど、最後の仕上げ、一緒にやりたいな。」
「いいの?一緒にやって。」
「勿論さ。」
渡されたエプロンはわたしの好みで服のデザインを邪魔しないシンプルな色とデザイン。しかも童磨さんとお揃いで思わず頬が緩んでしまう。
台所へ着くと、冷蔵庫から仕込んであったらしい料理が次々と出てきては、その品数とクオリティーの高さに驚かざるを得ない。
「こんなにいっぱい、いつ用意したの?しかも、どれも美味しそう!!」
感激のあまり子どもみたいにはしゃいでしまうと、
「俺、もともと料理は大の得意だぜ?これを振舞いたくて君に来て欲しかったのだよ」
と得意げにいった。
仕込んである料理を入れたタッパー類が並ぶと、火をかけたり、レンジに入れたりと次々と作業に取り掛かる。
わたしの事だけを思ってこれらを仕込んでおいてくれたんだなって思うと凄く嬉しい。
これだから、他のお客さんも勘違いしちゃうのかな?
「このお皿と、このお皿、そこに並べておいてくれるかい?そのあと、こっちのワインで煮込んだ肉を切り分けて野菜と添えてね!」
「了解!」
てきぱきと出される指示のタイミングも的確で、あっという間に、仕上げられた豪勢な料理が並ぶ。
しかも、どれもわたしが好きなものばかりでいい香りを放つものだから、空腹にしてきた分、早く食べたいとワクワクが止められない。
手際の良さと、笑みを浮かべながら料理する姿はどう見ても女の子の心を殺すくらいにかっこよくて、始終見惚れっぱなしだった。
あらかじめコーディネートされたテーブルに向かい合わせで料理を並べていくと、そういうレストラン並みの豪華さで、気分は最高潮だ。
「ありがとう!凄くステキ!」
「気に入って貰えてよかったよ。さぁ、食べよっか!」
おそらく今までこんな風におもてなしされたことない。それに、こんな感じでクリスマスイブを過ごしたいなって思ってた理想プランだ。