聖夜はアナタの好きにして【鬼滅の刃/上弦の鬼短編】
第3章 あまい毒牙/童磨
”今日はいっぱい夢を見よう”
そう思って彼の言葉を受けて、わたしはこの前、彼とデートという名の同伴の願いを受け入れた。
あのホストクラブは顔面国宝なのが3人
No1は紳士的で
No2は女ったらし
No3はあざとい弟系
わたしが指名する男はNo2のこの男。
このご時世で、大混雑まではいかないテーマパークで半日を過ごした。
買い物袋を後部座席に乗せて、童磨さんの白いロールスロイスの助手席で
流れる車窓からの景色は寒空に凍える群衆を抜き去っていく。
今、彼のマンションへと向かってる。
「俺、引っ越したばっかりでさ、女の子は誰も連れ込んでいないのだよ。」
「そうなんだ!わたしが一番でいいの?」
「当たり前じゃないか。それに他の女の子連れてくるつもりなんてないよ。」
いつものようにニコニコ人懐っこそうな笑顔を振りまくこの人は、客の女の子で”自分が本命”と思っている子が多い。店で居合わせた彼を指名する女の子はいつもそういう自身で満ちた態度をとる。
わたしはちゃんと弁えてるつもり。営業でそう言ってるって解ってる。
「どうだか♪」
悪戯にそう返しながらも、今日は一日中特別扱いしてくれることには凄く感謝してるの。
彼の中でも上客であっただろうわたしに、何度も同伴しよって誘ってくれてたけど、のめり込むのが怖くて断ってきた。
そんなわたしでも、飲みに行くくらいのアフターはよく連れて行ってくれるし、外では財布すら触る隙がないくらい、用意周到に支払いを済ませている。
そういう手際の良さと、それを当たり前だと思っても人に押し付けたりしない感じが素であるところが深いところの魅力なんだと思う。
そんなことを思い返しては彼の横顔をうっとりと眺めていた。
本当はどうしようもないくらいドキドキして仕方ない。