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聖夜はアナタの好きにして【鬼滅の刃/上弦の鬼短編】

第2章 覚めない夢



車の中、運転する巌勝のサングラスの下の眼差しは穏やかで、冬の穏やかな日差しも相まって優しい時間がながれていた。

「童磨と鳴女が、いろいろ助けてくれた。綾乃がしっかり治るまで、共に過ごそう。お前と一緒にいたい。」

今まで聞いてこなかった言葉達がいちいち、ささくれていた心に水を注ぎ込むように、涙腺がじわじわと涙をよぶ。
それを困ったように笑いながら時より頭を撫でてくれる手が暖かい。

彼のマンションについてからの日々は、わたしの体調に合わせて、身の回りの世話をしてくれつつ、今までの事を答え合わせと色んな話をした。

空虚、乖離、すれ違いの溝を埋め合うように。

彼が無口だったのは元々のことで、職業柄オンではあんなによく話すのに、気を許した相手にはその反動で無口になる。

連絡しないのはお互いに忙しくタイミングがない。互いに意地を張って遠慮しあって招いた結果だ。

わたしたちには愛はあっても言葉がなかった。言葉が足りずすれ違い、思い込んでた。それだけの事。

初めから巌勝は愛してくれてたし、それを伝えることを怠っただけ。

全てを話し終えた時はクリスマスイブの日で今年のプレゼントは買いに行く隙などなかった。

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