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聖夜はアナタの好きにして【鬼滅の刃/上弦の鬼短編】

第2章 覚めない夢



解ってる。いつか聞かないと何も始まらない。
だけど、わたしから聞いたら、ちゃんと話してくれるかな?

話しを切り出す勇気もこの時はなかった。


休みの日は結局気が緩むと全てが崩れそうな気がして、結局ランニングや仕事関係の本ばかり読んでいた。

その日からも少し気が楽になったモノの根本的なものが気持ちを不安定にさせるからふとした瞬間に思い出しては胸を締め付けた。
結局後の1週間は一日中仕事の事も多く、睡眠時間が4時間未満がほとんどだった。

帰国後、熱が38℃を超える日が続く。流石に仕事は出来なくて、彼への連絡どころか仕事のスマホすら熱が出て出れないとしか連絡できずずっと寝込んでいる。

今日はやけにひどい。こんなになるんだったら昨日のうちに病院行っとくんだった。







綾乃との距離の取り方がわからない。
客じゃないと思わせるにはどうしたらいいか分からない。
大事だと思うが故に遠ざけてしまう。いろんな自分に自信がない。この俺としたことが。

出会いは雑誌の撮影で弟とスタジオに来たとき。
日本人にしては長身で、漆黒の髪に大きな目が印象的だった。そんな女に頬を染められて連絡先を聞いてきた時には、ホストという職業的なものを無しにして、本気で愛いと思ったのだ。

俺がホストだと知ると驚いたような顔をするがそれ以降店にも来てくれるようになり、綾乃からの申し出で交際するようになった。

この歳になるまで、正直女に困ったことはなく、来るものを拒まず、去る者を追わずだった。連絡が面倒だと思っていた私は、女を引き留めたり気を引く術と本気で向き合うことはなく、ただ、営業として女の扱いを覚えた以外、本命の女との距離の取り方や、気の使い方が分からなかった。

それに日々、寝る以外の時間は客とのメール、Line等の返信や、
アフターや同伴が入ることが多く、彼女も海外の仕事が入ることが多い。

正直一ヶ月合わない月なんかもよくあった。

寂しい。もっとあいつといたいと思うのに、変なプライドが邪魔をして自分から誘うのが出来ない。連絡も然りだ。

「どうした。黒死牟殿。浮かない顔をして。」
「何でもない。」

童磨。同僚と言うべきか、こやつは鬱陶しいうえに勘が鋭くて厄介だ。
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