聖夜はアナタの好きにして【鬼滅の刃/上弦の鬼短編】
第2章 覚めない夢
一足先に起きては、遅くなりすぎた朝食という名の昼食を作る。
割と軽めの野菜のスムージーと高タンパクなむね肉と野菜のサラダ。
朝、炭水化物を控えるらしく朝食はこの程度。
作り終えては起こしに行くと割とすんなり起きてくれてテーブルで向かい合って食事をとる。
無言で食事をとる姿はまだ眠いのもあるかもしれない。
今の彼は、クラブで見せている華やかな姿と180度違った別人級だ。
「25日まで休みだ。それまで出かけるぞ。」
「え?本当に??忙しいんじゃないの?」
「嫌、か?」
「嫌じゃない嫌じゃない!!え?いいの?」
わたしの仕事は年中無休だけど、このご時世で休みがとりやすくなり昨年から2〜3週間ほどの夏休みと冬休みを用意していた。
彼が仕事の間仕事仲間と一緒に過ごすつもりだったけど、彼のまさかの長期休暇宣言で一気にクリスマスが楽しみになる。
表情でも体でも嬉しいのを出してしまったわたしを、目を細めて笑ってるのも堪らなくカッコいい。
もう、彼と出会って恋に堕ちて5年目になる。
いろいろあったけど、最初の2年は全く違った苦しいものだった。
あの頃のわたしが今のわたしを見たらどんなに思うかな?
こんなにもったいないくらいの幸せで、毎日笑っていられるようになったのは、それこそ3年前のクリスマスの季節だった。
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【3年前】
《ねぇ、今度いつ会える?》
《週末なら空いている。》
《じゃぁ、その日会いに行ってもいい?》
《あぁ。待っている。》
そんなやり取りをLINEでしては、律儀にその約束を守り、彼のお仕事であるあの店へ向かって、おしゃべりをした後アフターはお決まりだ。
彼は、店の外だと話さないし会話も素っ気ない。
仕事柄もそうだし、もともと昼型スケジュールだったこともあってすれ違うことが多い彼との時間は限られたものだった。
その"限られた時間"で無口な彼とすることといえば体を重ねることくらいで、すごく大事に宝物のように抱かれるセックスで、溶けそうになるのに苦しい。
あまりホスト遊びというものには興味なく、彼氏がそこで働いてるからそこに遊びに行ってるような感覚。
でも、行ったからにはあの店の看板ホストの女だからと月に2回ほど行っては百万以上の大金を貢いでた。