第14章 内湯
健吾さんに先にお風呂に入ってもらって、私は仕上げのチェック。
夕食前に大体やってあるから簡単に終了して、私もお湯に浸かって、健吾さんのすぐ左隣にくっついて座る。
「月がきれい。温泉も素敵だし、健吾さんが一緒で、夢の中みたい…。ずっとこうしてられたらいいな…」
「おれもです。志保さんを帰したくない。このまま攫って、どこか遠くに逃げ出せたらとも思うけど、そうもいかないんですよね」
健吾さんの左肩に寄りかかって、彼の左手を持ち上げて。
私の左手を横に並べると、二人の薬指でペアリングが温泉の柔らかな光を受けて優しくきらめく。
「もうとっくに、私の身体も心も健吾さんのものだから。…今は、私のこと、いっぱい愛して」
私はおもむろに膝で立つと、座っている彼の正面から跨がって唇を奪った。