第4章 指輪
どういうこと?
驚いて彼を振り向くと、彼は右手の小さな箱を胸の前に捧げ持っている。
それって、まさか…。
「明日まで、おれのお嫁さんになってください」
箱を開くと、シルバーのペアリング。
言葉が出ない。
「こんなことして、重いって分かってます。…けど、これをつけてる間だけでも、志保さんはおれだけのものだっていう証が欲しくて」
「はい、喜んで。…本当に、私でいいんですか?」
「もちろんです。志保さん以外考えられません」
彼が小さな指輪を取るのを見て、左手をそっと差し出す。
左手の薬指に指輪がはまると、お返しに私も彼の薬指に指輪をはめた。
「山下志保になってくれますか?」
「はい。…いっぱい、愛して下さいね、健吾さん」
どちらからともなく唇を寄せて、そっと、誓いのキスをした。