第3章 爆豪くんと初デート(?)
「お待たせ致しましたー、四川麻婆でお待ちのお客様ー」
何を話したかも全く覚えられないほど、緊張してしまった待ち時間が過ぎ、料理が運ばれてくる。
メニュー表にあった通りの、食欲をそそる激辛料理。
爆豪くんの事はひとまずにして、私はすぐ、料理に手をつけた。
「いただきます! ……っんー! 美味しい!!!」
無限に食べられるんじゃないか思うほど、予想を裏切らない辛さと美味しさに、感嘆をもらしてまたすぐ食べる。
こんなに美味しい激辛料理を食べたのは本当に久しぶり。
もちろん、ランチラッシュ先生のご飯も美味しいけれど、学外で食べる美味しさはまた別なのだ。
「本当に美味しい…………」
「こっちも食え」
「あっ、うん、ありが……と、う」
一気に半分ほどかけ入れてしまうほど、夢中になってひと段落。
その美味しさに酔いしれていた時に、爆豪くんは食べていた四川麻婆を私の方に寄越してきた。
そういえば、シェアするって話してたもんな。
けれど、取り皿を貰い忘れた事に気が付いて、爆豪くんの四川麻婆を持ったまま、私はフリーズしてしまう。
だってこれ、既に爆豪くんが口にしているんだもんね。
潔癖症、とかそういうのではないけれど、何だか気持ち分、食べ辛い。
少し変なタイミングになったとしても、店員さんから取り皿を貰った方がいいはずだ。
そう思った時、爆豪くんが私の手から、四川麻婆の入ったお皿を取り上げた。
「えっ」
「口開けろや」
「えええっ」
「早くしやがれクソが」
お皿に乗せられたレンゲをカチャカチャと動かした爆豪くんが、四川麻婆をよそって、私に向けてきたのだ。