第1章 妹の彼氏に犯されて
音を立てないように。とかそんな配慮をする余裕もなく、バタバタと大慌ててでキッチンへと駆け込む。今のは夢? 私はいったいナニを見ていたの?
現実逃避をしたくなる現場を目撃した私は、早鐘を打つ心臓を静まらせるのに精一杯。ついでに下半身の疼きも静まらせたい。
「最近、ご無沙汰だったからなぁ」
付き合っていた彼氏と別れて約一年。その間は誰ともいたしていないので、生理前とか気持ちが昂ったときなんかは、自分の体を弄んで慰める。なーんてことをしていたんだけど、自分の好きなように好きなところを触れるから意外と一人エッチ快適なのよねぇ。
「あーヤバ。私もシたくなってきちゃった」
でも部屋のベッド行く前に汗流したいし……とりあえずお風呂に行こうかしら。お風呂に入っている間に二人も落ち着いているだろうし、というか落ち着いていてくれ。じゃないと私は、自分の家なのにいたたまれない空気感を味わい続けなきゃいけないのやだ……!
うん、今日はちょっと長湯しちゃお。そんでもってお風呂ん中で一人エッチしちゃお。
脱いだ服をそこらへんに置いて、浴室へと続くドアを開ける。湯船にお湯を溜めながらシャワーのコックを捻って、べったりと頭皮にくっついている髪の毛を流していく。
あー! さっっっぱりするー! お風呂最高だあ。さぁてと、お気に入りのシャンプー使ってテンションあげよ。私はこれから春佳と彼氏くんに、何事もなかったかのような顔で会わないといけないからさ。気合い入れるわ、マジで。
「ふんふーん」
──ガタッ
「……ん?」
脱衣所からなにか音がしたような気がする……んだけど、もしかして春佳たちもう終わったのかしら?
そう思って妹の名前を呼んでみたけど反応はなし。んー私の気のせいだったのかな? とりあえずシャンプーの泡流そ。もう一度シャワーのコックを捻ってお湯を出す。
さっぱりしたー! と独り言を呟きながら、顔に張り付いた髪の毛を手でどける。額から顎に向かって垂れる雫を手で払いながら、今度は体を洗お! と顔をあげて思わず息を呑み込んだ。
ちょっと待って、どういうこと? 今なにが起きているの? 待って待って待ってなんであなたがここにいるの?