第1章 君を手に入れるまで、あと少し ((千冬
驚いた目で俺を見る場地さん。俺も立ち上がり目をそらさずにしっかり受け止めた。
「ダメだって思ってたんですけど…。場地さんのためにを守ってたら、一人の女の子として守りたいって…思い始めちゃって…。ほんとに、すんません。」
俺は、自分の気持ちを告げて頭を下げる。
「千冬と…、付き合いたいって?」
「ううん。今は、誰とも付き合う気はないよ。でも、千冬のことを前向きに考えたいって思ってはいる。圭介とは、幼馴染に戻りたい。」
「わかった。もっと、を大切にすれば…って思ってももう遅ェか。…千冬。今度ペヤング食いに来いよ。」
の頭を優しく撫でて見つめる目は、壊れ物を見るような、本当に大切なものを見るような切ない目をしていた。
どれだけ場地さんがを想っていて、甘えていて、それで愛していたのかがその目で見て取れた。
そして、俺を見る目も前と変わることはなく、少しほっとした。
場地さんが片手をあげて屋上を立ち去ると、が力なく座り込んだ。
「おいっ…!」
「ねぇ、千冬。私、千冬から守りたいしか言われてないけど、勘違い、じゃないよね。」
不安そうに見上げるに、確かに告白なんてものはしていなかったと思い出す。
けど、今更恥ずかしい気もする。
「ちふ…?」
不安そうな声で俺の名前を呼ぼうとするをぎゅっと抱きしめた。
「好きだよ。ずっと、守るから。」
「ありがとっ。まだ付き合えないけど…ちゃんと千冬のこと見るから…!」
は、俺の背なかに手を回してぎゅっと抱きしめた。
君を手に入れるまで、あと少しー…