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桜月夜【鬼滅の刃】

第3章 呪いの藁人形


更に歩いていると、突然近くで子供の泣く声がした。
気配は無かった。動く音もしなかった。それなのに突然近くから、なぜだ。
とにかく声のする方に急ぐと、子供は地面に座り込んで泣いていた。もしや居なくなった子の一人か。着物の裾から見える膝に血がついている。怪我をしている。

「大事はないか?」

傍に膝をついて傷を見ようとした時だ。
子供はまさに目の色を変えて俺に飛びかかろうとしていた。
子供のものとは思えない程に大きく裂けた口を開けて、猫のように尖った爪を向けてきた。
そしてその瞬間より早く、俺は誰かに後ろから引っ張られて体勢を崩した。そのおかげで子供が振り回した爪には当たらずに済んだ。さらに鼻の先に触らない既の所を曇り硝子のような刃が通る。子供はその刃を避けるために後ろに引いた。

「大丈夫ですか!」

月城だ。俺を引っ張ったのは。

「あぁ、すまない。」

が、その子供は俺たちには攻撃が当たらないと思ったのか、次は隊士に向かっていき頭に飛び乗った。


「うわあああ!!」


子供のすることじゃないのは明らかだ。
隊士の頭を引っ掻き回し、直ぐに離れて逃げていった。
俺たちも後を追う。


「大丈夫か!」

「あ、はい!髪を毟られただけです。」

隊士は走りながら髪を気にしていた。問題ないぞ!まだたくさんある!


「藁人形に髪の毛ですか…まるで丑の刻参りですね。」


月城が言った。それは、或いはそうなのかもしれない。だとすれば早く倒さなければ彼の身が危ない。
やがてあの子供を見失ってしまった。何て足の早い、いや、消えたかのようだ。
鬼の気配も先程より薄くなった。揺動だったか。

「炎柱様、これを見てください。」

月城が呼んだので行くと、不思議な事が起きていた。景色は続いているがまるで壁のように触れる。しかも触れると蜃気楼のように揺れる。
結界だ、それに隠され空間がある。だが入ることはできる。

「よく見つけたな!行こう!」

俺は先導して空間に入った。中も景色は変わらなかった。
それにしても先程の回避といい、此度の発見といい、月城は勘が鋭い。これは素晴らしい才能だと思う。

「月城!」

「はい。」

歩きながら、気配を探りながら話した

「先程、俺の襟を引っ張っただろう?」

「あ…申し訳ございません。」
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