第18章 白日の中で待つ【END1】
水の上に浮かぶような
そんな感覚だった。
肩の荷が下りたようで
とても軽く感じる。
そして静かだ。
ゆっくり目を開けると
母上の顔が見えた。
母上が微笑みながらを見下ろしている。
起き上がってみると、母上の膝で眠っていたようだった。
「母上…」
母上は、静かに頷いて、微笑んだ。
そして、俺が幼かったあの時のように抱きしめてくれた。
『よく、頑張りましたね。』
温かい…。母上の温もり。
やっと休める、そう思えた。
「あなたを待っていた人がいますよ。」
母上は俺から体を離して、遠くを手で指した。
光が眩しくて何も見えない。
歴代の炎柱たちだろうか…。
光の方へ歩みを進める。
ぼんやりと人影が見えた。
あぁ…。
誰がそこにいるのか
確信すると駆け出していた。
あぁ…。
リアネ…
待っていてくれた…
はっきりと顔が見える。
下肢もちゃんとある。
見慣れた姿に涙が溢れた。
駆け寄る勢いそのままに彼女を抱きしめて、そのまま座り込んだ。
腕の中にぎゅっと閉じこめる。
懐かしい匂いもする。
「なぜ…先に逝ってしまったんだ…!!」
俺があまりにも大泣きするせいで大層驚いていたが、母上が『我慢していたのですよ』と、心を汲み取って言ってくれた。
リアネは俺の背に手を回すと優しく包んでくれた。
泣く子をあやすかのように、ゆっくりさすってくれる。
「ごめんなさい…。ごめんなさいね…。」
「君とは話すことが山のようにあるというのに…!」
「…ごめんなさいね。」
彼女はずっと謝り続けていた。