第10章 氷
焔色の髪に大きな瞳が、死んだ末の弟を思い出させるから。
まるで大きくなった弟に再会できた気分だった。
可愛くて仕方ないので、他人の、それも上官の弟君に対して失礼だったかもしれないが、勝手にとてつもなく可愛がった。
彼は次第に私を姉のように慕ってくれた。
兄に会いたいと寂しがることもあるが、私といる時も楽しそうにしてくれた。
彼の今後を守りたい。
鬼のいない世で、幸せに生きてほしい。いつしかそう考えるようになった。
これまでは炎柱様に継子にしていただいていたから、千寿郎さんにも会えた。でも今度は、いくら変わらず会っても良いと言われてもやはり気を遣う…。
また以前の私に戻るのかな。
死を探して鬼を探すような日々に。