第6章 慣れは非日常を日常へ変えていく
居場所が無かった結莉乃は自分で出来る事を見付け、屋敷の人達と会話をしたり…思い切って鍛錬に付き合ってもらったりをして居場所を見付けた。
そうして居場所を見付け関わっていると、以前の生活が日常だったのに今では此処での暮らしが結莉乃にとっての日常へ変わっていた
町人
「おお、結莉乃ちゃん!」
結莉乃
「あ、おじさん!こんにちは」
この日、結莉乃はわくわくしていた。
初めて治癒能力に目覚めた時に行く筈だった甘味処へ行ける事になったのは─…
眞秀
「前に行く予定だった甘味処、行かないか?」
結莉乃
「行きたい!」
眞秀
「そうか、良かった。二日後に用事を済ませたら向かおう」
結莉乃
「分かった。楽しみだなぁ…」
眞秀
「行けなかった分、満足するまで食って良いからな」
結莉乃
「ふふ、ありがとう」
それが二日後の今日だ。
共に町へ出た眞秀は鍛冶屋に用があるらしく、結莉乃は鍛冶屋近くの店を見て回る事にした。来たばかりの時は城下町の人達も有名人である彼等と共に行動している者として、様子見状態だった。だが、良く訪れ町の人達と関わるようにもなり、今では結莉乃に声を掛けくる人ばかりになった
町人
「今日はどこ行くんだい?」
結莉乃
「眞秀くんと甘味処に行くんです!」
町人
「へぇ、そうなのかい。…お、噂をすればだな」
その声に結莉乃が振り返ると眞秀が近付いてきていた。
町人
「お、結莉乃ちゃん可愛い簪してるね」
結莉乃
「あ、これ眞秀くんから貰ったんです」
町人
「仲良しだねぇ、二人共」
結莉乃の隣に並んだ眞秀を見て、町人は嬉しそうに笑った。そう見えるのだと結莉乃もまた笑みを浮かべていた。
それからも二人は町人に時々、止められながらも目的の甘味処へと漸く到着した