第17章 心の交わりと遭難
千兼
「じゃー俺そろそろ寝たいから良い?」
結莉乃
「あ、はい」
すぐに目を瞑る千兼を見て結莉乃は立ち上がり、地下牢を後にする
結莉乃
「あれ、眞秀くん?」
眞秀
「あぁ、結莉乃。地下牢に行ってたのか」
結莉乃
「うん。…眞秀くんも今から行くの?」
眞秀
「嗚呼。飯を届けにな」
結莉乃
「眞秀くんのご飯美味しいから千兼さん喜びそう」
眞秀
「はは、そりゃ良い。じゃな」
地下牢へ向かう眞秀を見送った結莉乃は自室に戻った。
天音
「アイツを攫おうとしていた奴が屋敷内を彷徨くって考えたら気分悪ィすけど、多分…裏は無い気がします」
眞秀
「俺も天音と同意見です。今日、飯を持っていったんですが…こっちを警戒してる空気がありませんでした」
胤晴
「成程な…」
胤晴の部屋に集められた結莉乃を除く全員が千兼について話し合っていた。何かしらの理由をつけて地下牢に向い、千兼に警戒や殺意、その他の負の感情が無いかを探った
だが、千兼は誰が来ても態度は変わらず呑気に寝たり世間話を振ったりと今後、何かをしようと考えている様には誰も見えなかった
凪
「ですが、監視も付けずに屋敷内を自由にするのは危険ですよ。必ず大丈夫とは言いきれませんし」
胤晴
「そうだな…では、日中は屋敷内に監視付きで自由にし夜は地下牢に戻ってもらう様にする。夜まで気を張るのは皆が疲れるからな」
という事で纏まり、千兼は日中…つまり彼等が寝るまでは屋敷内を自由に歩く事が出来、彼等が寝る時間になると地下牢に戻される事になった。
寝ている間に何かあっては困るからと、一時的にそうする事となった