第14章 彼岸花の毒
慎太
「有り得ないだろうが…結莉乃はそういう人だ。俺達が想像もしなかった言葉を裏も表もなく掛けられる。大将が言った通り…優しいを通り越してお人好しなんだ。だが俺達は…そのお人好しに何度も世話になった」
慎太の言葉に全員が口元に笑みを浮かべた。和都は悔しそうに涙を流して俯く。
その後、殺されかけた本人である結莉乃に責めるなと言われてしまっては、それを汲む様に誰も和都を責めなかった。そして、部屋に閉じ込めたり彼女の屋敷へ戻す事もせず例年通り鬼城で過ごす事になった
和都
「何故…私も?」
彼岸花の毒効果が少し弱まると結莉乃の体力が戻り、自分で治癒が出来るようにまでなった。それで自身へ治癒を施し…四日後、漸く完治に至った。
そして今は川の近くへ出掛ける事になり結莉乃は和都を誘っていた。胤晴は他の面々は彼女を誘う事に乗り気では無かったが、やはり殺されかけた結莉乃の言葉だからだろう…全員が渋々頷いた
結莉乃
「行きましょうよ!」
和都
「……分かりました」
和都は問いたい事が沢山あったが、仕方なく行く事にした。
彼等が許していない空気を流石に感じ取っている結莉乃はその空気を浴びるのは辛いだろうと、常に和都と行動を共にした。彼女の気持ちも考えず無理矢理、連れてきてしまった感があるため申し訳なく思ったが…どうしてもこの空気を結莉乃は無くしたかった
八一
「結莉乃ちゃん馬に乗るの上手になったね」
結莉乃
「うん、凪さんのお陰!」
川までの移動は馬で行っており、練習の成果もあり結莉乃はちゃんと皆について歩く事が出来ていた。その隣で和都も馬に乗っていた
結莉乃
「和都さん馬乗れるんですね」
和都
「ええ…」
結莉乃
「私は本当に最近、凪さんから教わってて…漸くここまで乗られるようになったんです」
和都
「…そうですか」
殺そうとした相手に笑顔で話し掛けられるのは少し気まづいものがあり、和都はただ相槌だけを打つ。同時に何故、笑顔で話し掛けられるのかが理解が出来なかった