第12章 訪れた難に身を委ね
厩舎から戻った結莉乃は、おはぎを作っていた。極力屋敷から出ないでおこう…そう決めたのも束の間
結莉乃
「そういえば…」
鍛冶屋に打刀を預けて今日、取りに行く約束であった事を思い出した結莉乃はおはぎを持ちながら固まる。頼むのは申し訳ないが刀は必要だし…と結莉乃は悩む。
ただ彼等を頼らないのは強さを疑っている様な気分になるのも事実だった。彼等は強いし何かあっても大丈夫だと思わせるほどの力がある…そう考えれば結莉乃は頼る事にした
結莉乃
(備え過ぎてる方が何も起こらないしね!)
何て言い訳の様なもので自分に言い聞かせて結莉乃は、おはぎが入った桶に薄布を被せ台所を出た
自室に戻った結莉乃の前で若葉が疑う様な視線を送っていた
若葉
「本当に一人では行きませんね?」
結莉乃
「行きません」
若葉
「本当ですね?でなければ私は貴女を着付け致しません」
結莉乃
「本当に一人で町に出ないです!誰かにちゃんとついてきてもらいます」
鍛冶屋に行くため若葉に着付けを頼んだが簡単に行動には移してくれなかった。彼女が危ないというのは屋敷中が知っており若葉は結莉乃が一人で行ってしまわないか心配で、何度も確認してしまう
結莉乃は若葉に信じてもらおうと、じっと瞳を見詰めた。暫く沈黙が続いたが若葉の口角が緩やかに上がった
若葉
「分かりました」
結莉乃
「ありがとうございます!」
乗馬の時にはいている袴がスカートタイプでは無くズボンタイプな為、結莉乃は備え過ぎようと何かあった時に逃げやすい様に袴にした。
白地に紅色、桃色、葡萄色の大中小の梅の花が咲いた着物に臙脂色の袴を着せてもらった。若葉にお礼を述べて結莉乃は自室を後にし、ついてきてもらおうと考えている人物を探しに廊下へ出る